2007-03-01から1ヶ月間の記事一覧

伝道の書より

私は、二十年前、大学に入学し、京都で下宿をすることになった春に、二十歳の誕生日を迎えた。その際、母親に、なにか欲しいものはないかと問われ、私は、『聖書』を買ってもらうことにした。 とはいえ、せっかく買ってもらったものの、その『聖書』をきちん…

〈自分〉のありか

お知らせするのが遅くなってしまったが、先日、友人のyamboさんが、昨秋、私が編集を担当させていただいた、山田邦男先生の『〈自分〉のありか』(世界思想社、2006年)(参照)という本を、「自分の底に扉を開く本質的な書」と評してくださり、感想をAmazon…

これは美味い!

昨晩は、私がかつて勤務していた会社のスタッフが、転職して東京に行かれるということで、彼女の送別会があり、美味しい料理とお酒を頂戴しながら、楽しい歓談の時を過ごさせていただくことができた。関係者のみなさま、どうもありがとうございました。Tさ…

ブルックナーはお好き?

十代の半ば、まだ中学二年生だった頃、私は毎日、ブラームスのシンフォニーばかり聴いていた。とくに好きだったのは、第2番と第4番だった。ソニーからウォークマンが売り出されたばかりの頃で、通学電車の中ではもちろんのこと、授業の合間の休み時間にも…

今、見直してみたら

週末を挟んでも、なかなか忙しさから解放されません。しかし、昨晩終わったドラマ『華麗なる一族』はひどかった。わが家では、このドラマは最初の数回は結構楽しみにして見ていたのですが、途中から、あまりにもつまらないので見るのをやめていました。なの…

12号室へ

会計ソフトを導入したおかげもあって、今年は締め切りより少し前に確定申告を提出できたものの、今度は納期の厳しい仕事が立て続けに舞い込んでしまい、なかなか記事を書く時間がとれません。なので、今宵はSIONの歌を、一曲紹介します。 SION - 12号室

追記しました

一昨日の「映画はなんのためにあるか」という記事につき、昨日、京都シネマの代表である神谷雅子さんとメールでやりとりをしました。そのことを記事の最後に追記しましたので、興味のある方はどうぞご覧ください。

映画はなんのためにあるか

先週の土曜日に、私は、京都シネマで、佐藤真監督の『エドワード・サイード OUT OF PLACE』という映画を観た(公式サイトはこちら)。京都では封切りされたばかりなので、これから見に行かれる方もおられるのではないかと思われる。したがって、ここでは、あ…

気を取り直して

今日、私は、佐藤真監督の『エドワード・サイード OUT OF PLACE』という映画を観た。が、観終わった後のあれこれでちょっと疲れてしまった。 しかし、さきほどようやく、心の落ち着きを取り戻し、静かな心になることができた。気を取り直して、今日一日の出…

幸福になるために

前回の記事で、私は、今日、膨大な数の新刊書が流通する一方で、世間一般には、いわゆる読書離れという現象が進行しており、そのような状況下で、いわゆる人文書と呼ばれるたぐいの本を作ることを生業としている自分はなにをなすべきか、ということについて…

ミスタージュンクに会う

月曜日の晩、私は、とある版元の営業マンの仲介で、ジュンク堂書店大阪本店副店長である岡村正純さんと会食をさせていただく機会を得た。 岡村さんは、同じくジュンク堂書店池袋本店副店長である田口久美子さんが昨年上梓された『書店繁盛記』(ポプラ社、20…

二十年前の手帳より 2

1987年6月の抜き書き。 感ずることのあまり新鮮にすぎるとき それをがいねん化することは きちがひにならないための 生物体の一つの自衛作用だけれども いつまでもまもってばかりゐてはいけない (宮沢賢治「青森挽歌」より) この頃、京都市内の映画館でア…

二十年前の手帳より 1

1987年3月、大学受験のさなかに、十九歳の私は、手帳に、なぜか、こんな抜き書きをしている。 一人の人間がわれわれにとっていつでも未知のものとしてとどまっていること、 その人間の中にはわれわれの理解の手からすべり落ちてしまう 解きがたい何ものかが…

廃墟の街から

私の好きな歌に、ボブ・ディランの「DESOLATION ROW(邦題:廃墟の街)」という曲がある。10のパートからなる、11分23秒の大曲である。歌詞は、ここで読むことができるのだが、一部を紹介してみよう。 冒頭のパート。 They're selling postcards of the hang…