昨秋、私の知人である藤野可織さんの書かれた「いやしい鳥」（『文學界』2006年12月号掲載）という小説が、『文學界』の新人賞［第103回］を受賞した。今回は、この作家の、この小説について、私なりに、批評を試みることにしたい。 まず、あらすじを紹介し…

今晩もYouTubeを楽しみながらくつろいでいる。最初はボブ・ディランとかレナード・コーエンとかの歌を探しては聴き、それから友部正人の歌を楽しんだ後、SIONの歌を何曲か見つけた。 「夜しか泳げない」]（4分48秒） 去年の５月に、磔磔であったライブでも、…

これはもはや自慢話にしかならないかもしれないが、私は、1990年の春に、ジョルジュ・ドンの踊るボレロを見たことがある。とにかく、最初から最後まで、鳥肌が立ちっぱなしで、体中の神経がびりびりし続ける15分間だった。その時の感動は、言葉にできない。 …

大澤真幸さんが、かつてどこかのインタビューで、こんなことを言っていた。「僕はいつも、自分の研究室の学生たちに、こう言ってるんです。物を書くには覚悟がいるんだ、と。物書きっていうのは、パンツ一丁で公道に出るみたいなもんだ、と」。 さんざん探し…

私の姓は大隅である。大隅の先祖は、江戸時代より今から百年ほど前まで、広島城下で、代々、米屋を営んでいた。この正月にはじめて父から教えてもらったところによれば、屋号は「鍋屋」だったという。祖父の育った家は、広島駅近くの白島というところにあっ…

このブログを開設して、今日で、二週間が経過しました。ここにいたるまでのドタバタ、迷走ぶりについては、まさにご笑覧の通りであります。 最初の一週間は、公園デビューの幼児のごとき恐怖心から、かつて抱いた誇大妄想を顕示するという、なんとも滑稽なと…

一昨日の記事に、友人のnyukaさんがコメントをつけてくださった。レスを書きながら思い出したことがある。私は、一昨年の秋から昨年の春にかけて、シナリオ・センター大阪校というところに、半年間ほど通っていたことがある。 同校のカリキュラムは、毎週、…

2月11日、2月13日分の記事中に登場した、私が1991年に『思想の科学』に書いた、イリーナ・ラトゥシンスカヤ『強制収容所へようこそ』（矢田雅子・片岡みい子訳、晶文社、1991年）の書評というのを読んでみたい、というリクエストを複数の方々から頂戴しまし…

前回の記事のなかで、私は、石原吉郎という人の詩や評論が、必ずしも好きとは言えない、と書いた。今日はそのことについて、書いてみようと思う。 私が、石原吉郎という人のことをはじめて知ったのは、高橋三郎先生の『強制収容所における「生」』（世界思想…

宗教について話をしようとすると、たいていの人はちょっとこまったような顔をする。私の父は、日本史の、それも中世の思想史を専攻とする大学教員だった。父は、鎌倉時代の仏教に詳しかったためであろうか、昭和の新宗教の研究などにも参加していた。そうい…

最近、わたくしも、ご多分に漏れず、YouTubeなるものを、仕事の合間の息抜きに活用させてもらってます。 たとえば、1990年代初頭に、さまざまな事情で鬱屈していた私の心の支えになってくれていた深夜番組「北野ファンクラブ」での、ビートたけしと、『佐賀…

おはようございます。今日はめずらしく早朝の更新です。しつこいようですが、タイトルについて、もう少し考えてみます。 さて、初日に引っ張り出してきた、十三年前に書いた宣言文については、おおまかに言って、冒頭から、 原理的に考えること、ここに立ち…

三日目に入りました。世間では、三日坊主とか、三号雑誌とか、申しますけれども、僕の場合は、スロースターターなので、もうしばらく、「ならし運転」をさせていただきます。 一日目の冒頭に、yamboさんからメールでいただいたアドバイスを引用させていただ…

さて、このブログを開設して丸一日がたちました。それで、さまざまな「発見」や「学び」がありましたので、ここに書いておこうと思います。 まず、昨日の午後、最初のものをアップした段階で、一部の人々に、おそるおそるお知らせをしました。すると、さっそ…

先月、大学時代からの友人であるyamboさんの仲介で、昨秋、岩波文庫からゲーデルの『不完全性定理』の翻訳を上梓された京都大学文学部の林晋先生と会食をさせていただく機会を得ました。 林先生からうかがったお話は、いずれも非常に興味深く、示唆に富んだ…